熊谷秋三
九州大学基幹教育院・大学院人間環境学府、健康・運動疫学研究室 教授


本研究開発課題は、研究開発代表者(熊谷秋三)が福岡県糸島市で平成 29 年秋に実施するフレイル評価に基づくコホート研究内で実施するものである(糸島フレイル研究:IFS(Itoshima Frailty Study))。
IFS では、地域在住高齢者のフレイル、サルコペニアおよび認知機能に関する疫学調査に伴うコホートの作成に加え、コホート内でのプレフレイル・サルコペニア保有者への対面型運動指導およびIoTを用いた非対面型(遠隔)運動プログラムの開発に加えRCT を用いた効果評価の比較検討も行うものである(プログラムの短期効果)。
さらに、非運動介入群と運動介入群の介護認定状況に及ぼす影響を比較検討するための前向き研究のベースラインを構築できる(プログラムの長期効果)。
すなわち、本研究開発課題では、介護認定率の抑制や認知機能低下および認知症発症の抑制へと導く運動によるフレイル等の改善効果を実証するために、従来の古典的かつ少人数対象の対面式 運動プログラムとIoTを用いた完全な非対面式(遠隔)運動プログラムとの比較研究を行うものである。
なお、本研究開発課題は介護予防分野のみならず生活習慣病予防分野(メタボリックシンドローム予防・改善)での応用可能性をも念頭に実施するものである。本研究開発課題から期待される成果は以下の7点に要約できる。

1. 直接的効果:
① フレイル等改善のためのウェアラブル機器を用いたデータ解析手法(アルゴリズム)を創出ができる。
② フレイル、サルコペニアおよび認知機能低下の改善のための科学的証拠に基づいた運動プログラムを新規に提案できる。

2. 間接的に期待される新技術の創出:
① 三軸加 速度計内蔵のウェアラブルデバイスから得られた身体活動・座位行動データを元にした日常生活改善の コンサルテーション技術の創出と体系化が構築できる。
② 対象者の参加形態(諸般の理由で対面指導への参加が出来ない、もしくは参加非希望者等)に配慮した非対面型(遠隔)運動指導プログラムが創出できる。

3. 期待される社会的成果:
① 認知症発生率の低下および要介護認定率の適正化が期待できる。
② 非対面(遠隔)運動指導プログラムを用いることで、運動指導の経済効率性の向上による参加者層の拡大を目指すことができる。
③ 自治体との協働による広汎な対象者の健康改善を図ることができる。

これらの研究成果を身体的フレイルや認知機能低下予防や要介護認定率の適正化へと結びつけるため、自治体との協働による広汎な対象者への健康改善にアプローチできる事業(ビジネス)モデルを構築することを見据えた研究とするものである。

以上